2026.05.13

AI導入を始めた経営者さんからよくいただく質問TOP10

最終更新日: 2026年5月13日
生成AI

ChatGPT、Gemini、Claudeをはじめとした生成AIを社内に導入し始めると、勢いのある最初の数ヶ月とは別の課題が見えてきます。導入したのにあまり使われない、部署ごとに温度差が出る、推進担当者だけが孤独に走っている──こうした声を、私たちも現場でよく耳にします。

ただ、こうした悩みが出てくることは、決してネガティブな兆候ではありません。むしろ、AIを”とりあえず使ってみる”段階を抜けて、本格的に業務へ落とし込もうとしているからこそ生まれてくるものだと感じています。

本記事では、私たちがAI研修や伴走支援をさせていただいている中で、導入を始めた経営者・経営層から実際によくいただく質問を10個まとめました。それぞれに、現場で私たちがお伝えしている考え方や進め方のヒントを添えています。同じような悩みを抱えていれば、参考にしてみてください。

動き始めてすぐにぶつかる悩み(Q1〜Q3)

Q1.「AIを導入したのに、社員が日常で使ってくれません」

ツールを入れただけ、アカウントを配っただけでは、社員の行動はなかなか変わりません。多くの場合、社員側には「業務でいつ使えばいいか分からない」「使っていいのか迷う」というブレーキがかかっていることがほとんどです。

私たちが研修・伴走の現場で見てきた中で、AIが定着していく会社には共通点があります。それは、社内に1〜2人いる“前向きな人”を見つけて応援していること、月1回でも「最近こう使った」を共有する場を設けていること、そして何より、経営者が「使っていい」「使ってほしい」と口に出していることです。

一斉に広げようとするより、まずはこの3点から始めてみてください。

Q2.「部署ごとに温度差があります。どう揃えていけば?」

温度差はある意味で健全な状態です。業務の性質によってAIとの相性は違うため、全部署を同じスピードで揃えようとすると、かえって失敗します。

私たちが伴走の現場でおすすめしているのは、“揃える”ではなく”進んでいる部署に焦点を当てる”発想への切り替えです。熱量の高い部署で先に成功事例を作り、社内で見える化することで、ほかの部署も「うちでも」と自然に動き出します。横展開は、号令ではなく事例の引力で進むものです。

全部署を同じ研修プログラムに乗せるより、フェーズごとに支援内容を変えていく方が、結果的に早く全社に行き渡ります。

Q3.「推進担当者が孤立気味です。どうフォローすれば?」

推進担当者は、経営者からは丸投げされ、現場からは”押し付けてくる人”に見られる板挟みになりがちです。これは個人の能力の問題ではなく、ほとんどが体制設計の問題だと、私たちは現場で感じています。

まずおすすめしたいのは、経営者と推進担当者の「定例で話す時間」を月1回でも作ることです。”やったこと”の報告ではなく、“詰まっていること”を聞く時間として設計してください。あわせて、社外の同じ立場の人と話せる場(コミュニティや伴走者)に出すと、孤独感が大きく和らぎます。

推進担当者が一人で抱える設計だと、どれほど優秀な人でも疲弊してしまいます。

動き出した後に見えてくる悩み(Q4〜Q6)

Q4.「効果が見えづらいです。どう測ればいい?」

多くの会社が、いきなり「全社でどれくらいの時間が削減できたか」のような総量で測ろうとして挫折します。総量で出そうとすると根拠が曖昧になりやすく、削減した時間で何をしたのかも追えなくなるからです。

私たちが伴走でおすすめしているのは、最初は定量よりも定性から始めることです。「AIで助かったエピソード」を月1回集めるだけでも、社内の空気は確実に変わります。

そのうえで、定量化していくときは、業務単位の具体的なエピソードとして「効率化できた時間」を小さくてもいいので見える化していくのがおすすめです。「これまで2時間かかっていた議事録の整理が、30分で終わるようになった」「以前は半日かけていた提案書の骨子が、1時間で組めるようになった」──こうした個別の事例を一つひとつ積み上げていくと、社員にとっても経営層にとっても効果が実感しやすくなります。

すぐにROIを求めると、ほぼ確実に失敗します。最初の半年は”成功体験を積む期間”と割り切るのが、結果的に近道です。

Q5.「社内ルールは、どこから作っていけば?」

ルール作りが目的化すると、導入そのものが止まってしまいます。

私たちの研修・伴走の現場では、完璧な禁止リストよりも、「これだけは」という最小限のルールから始めることをおすすめしています。当社のコラム「中小企業のための生成AI社内ルール入門|安全に活用するために最初に決めておきたい7つのこと」もあわせてご覧ください。

大事なのは、四半期に一度は見直すと最初から決めておくことです。AIまわりは変化が速いので、半年前のルールがもう実態に合っていない、ということが当たり前に起こります。走りながら整える前提で組み立ててください。

Q6.「新しいツールが次々出てきて、追いきれません」

毎週のように新サービスが出る今、すべてを追おうとすると経営者も推進担当者も消耗します。

私たちが現場でおすすめしているのは、まず”主軸となる1つのツール”を決めて、業務に組み込めるレベルまで使い込むことです。そのうえで、必要に応じて特化型のツール(資料作成に強いもの、画像生成に強いもの、議事録に強いもの、など)をサブとして追加していく、という流れが現実的です。

最初から複数のツールに手を広げると、社員も覚えきれずに離脱してしまいます。”まず一つを深く、そこから用途に応じて広げる”という順番が、結果的に一番早く社内に根づきます。

情報収集は推進担当者に集約し、月1の社内勉強会で共有する形で十分です。経営者自身がすべてのツールを追う必要は、まったくありません。

次のフェーズへ進むときの悩み(Q7〜Q10)

Q7.「業務にAIを”組み込む”イメージが湧きません」

“個人が補助で使う”段階から、”業務プロセスに組み込む”段階の間には、想像以上に大きな段差があります。

私たちが伴走でおすすめしているのは、大きな業務改革を狙わず、定型業務の”1工程だけ”を置き換えるところから始める方法です。具体的には、議事録の整形、メールの下書き、レポートや提案書の骨子作り、Web原稿のたたきなど、誰がやってもブレが少ない工程が向いています。

無理に大きく動かそうとせず、一つの工程を確実に定着させてから次へ──というペースで進める方が、結果的に長く続きます。

Q8.「次のステップって何をすればいいんでしょう?」

個人で触る人が増えた後、必ず現れる壁です。

私たちが伴走の中で整理しているのは、次の3つのステップです。

  • 「個人活用」から「チーム活用」へ(共有する文化を作る)
  • 「使う」から「業務プロセスに組み込む」へ(属人化から抜ける)
  • 「ChatGPT中心」から「複数ツールの使い分け」へ

今、自社がどのステップにいるかを言語化するだけでも、次の一手は見えてきます。一人で考えるより、外部の伴走者と棚卸しの場を持つ方が早いことも多いので、行き詰まりを感じたらお声がけください。

Q9.「経営層・幹部にもAIを浸透させたい」

経営者だけが熱心に推進していて、ほかの役員クラスは様子見、という状態はとてもよく見ます。

私たちが現場で効果を実感しているのは、役員向けに30分の体験セッションを設計する方法です。座学ではなく、自分の業務(議事録、メール、資料作り)でその場で触ってもらう設計が肝心です。「やる/やらないの判断」を求めるのではなく、まず”触る時間を強制的に取る”のが最初の一歩になります。

役員会の議事録AI作成を定例業務に組み込んでしまう、というのも実際に効いた打ち手です。

Q10.「来年度の研修予算、どう組み立てればいいですか?」

単年では終わらない学びだと気づき始めた、とても健全なフェーズの問いです。

私たちがご提案する際は、予算を “研修費(学んで身につける部分)”“伴走費(社内に根づかせる部分)” の2階建てで考えていただくことが多いです。さらに、「全社一斉」より「対象別・フェーズ別」に配分するほうが、結果として効果が出ます。

また、AI研修については活用できる助成金もあります。条件や内容は年度ごとに変わるため、最新の情報を踏まえて組み立てたい方は、お気軽にご相談ください。

まとめ|「次のフェーズ」に進む会社のために

10の質問はいずれも、AI導入を前向きに進めている会社だからこそ生まれるものです。導入の前段では出てこない、“動き始めたからこそ見えてくる悩み”ばかりではないでしょうか。

逆に言えば、こうした問いが出てくる時点で、御社の取り組みは確実に次のフェーズに進んでいます。最初の壁は「触ってみるかどうか」ですが、二つ目の壁は「組織として続けていけるかどうか」です。今まさにその壁の手前に立っているなら、それはこれから本当の意味でAIを社内に根づかせるチャンスでもあります。

それぞれの答えは”正解”というよりも、私たちがAI研修や伴走支援の現場で見てきた中で「こう考えると進みやすい」という指針です。会社の規模、業種、社内の体制、抱えている課題によって、最適な進め方は変わります。

「うちの場合はどうすればいいのか」を一緒に整理させていただくことも、私たちの大切な役割のひとつです。今回の記事を読んで、ご相談したいテーマが浮かんだ方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。一社一社の状況に合わせた進め方を、丁寧に一緒に考えさせていただきます。

 

「うちの場合はどう進めればいい?」とお感じの方へ

記事で取り上げた質問はあくまで一般化したものです。実際は、会社の規模・業種・社内体制・抱えている課題によって、最適な打ち手は変わります。

私たちは、AI研修伴走支援の両面から、御社の状況に合わせた進め方を一緒に整理させていただきます。「まだ決まっていないけれど…」という段階でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。