2025.05.29

ChatGPTを安全に使うための設定方法|企業利用で確認すべきポイント

最終更新日: 2025年6月5日
AIの安全な運用生成AI
ChatGPTを安全に使うための設定方法|企業利用で確認すべきポイント

ChatGPTなどの生成AIは、業務の効率化やアイデア出しに大きく貢献する一方で、「情報漏洩」や「データの取り扱い」に不安を感じて導入をためらう企業も少なくありません。
しかし、正しい設定と使い方を理解すれば、これらのリスクは最小限に抑えることができます。

本記事では、ChatGPTを安心・安全にビジネス活用するための基本設定と注意点を、図解付きでわかりやすくご紹介します。導入を検討中の企業や、すでに使い始めているけれど設定やリスク対策が曖昧な状態にあるご担当者の方に向けて、すぐに実践できる内容をお届けします。

なぜChatGPTにはリスクがあるのか?

AIに入力した情報はどこへ行く?

ChatGPTを含む生成AIは、ユーザーが入力した情報をもとにさらに賢くなるよう設計されています。これは一見すると便利な仕組みですが、裏を返せば「入力内容がAIの学習対象になる可能性がある」ということでもあります。

例えば、プロンプトに社内プロジェクトの進行状況や顧客の情報を含めてしまうと、それがAIの学習データに使われ、意図しない形で第三者に影響を与える恐れも否定できません。これは企業にとって、信用問題や法的リスクにもつながりかねない重大な課題です。

「使わない」ではなく「正しく使う」時代へ

生成AIの進化は目覚ましく、その利便性ゆえに業務のあらゆる場面での活用が広がっています。情報収集、アイデア出し、資料作成の下書きなど、「とりあえず使ってみる」段階から、「業務フローに組み込む」段階へとシフトしつつある企業も少なくありません。

こうした時代の流れに取り残されないためにも、「使わない」という選択肢ではなく、「どうすれば安全に使えるか」を考えることが重要です。リスクをゼロにするのではなく、管理可能な範囲に収め、安心して活用できる土台を築きましょう。

ChatGPTを安全に使うための基本設定

ステップ①:アカウント設定で「データの学習利用」をオフにする

まず初めに確認すべきなのが、ChatGPTのデータ設定です。画面左下の「Settings(設定)」メニューから「Data controls(データコントロール)」にアクセスし、「Chat history & training(チャット履歴と学習)」をオフにします。

この設定をオフにすることで、入力した内容が今後のAIの学習に使われなくなります。とくに企業利用の場合、複数人でアカウントを使用しているケースもあるため、担当者全員がこの設定状態を理解していることが重要です。

また、法人向けの「ChatGPT Team」「Enterprise」プランでは、デフォルトで学習利用がオフになっているケースもありますが、念のため確認と共有を徹底しましょう。

ステップ②:入力してはいけない情報を明確にする

いくら技術的な設定を行っても、「何を入力してよくて、何がNGか」が現場で共有されていなければ、ヒューマンエラーによって情報漏洩のリスクが残ります。特に、以下のような情報は明確に「入力禁止」とする必要があります。

  • 顧客の氏名・電話番号・メールアドレスなどの個人情報
  • 社内の経営資料・人事情報・取引先との契約書類
  • 開発中の製品やリリース前のマーケティング戦略など

ルールを「知らなかった」では済まされない時代です。全社に共通する禁止事項だけでなく、各部署に合わせた具体的な例を交えてガイドラインを整備しましょう。

企業として気をつけたい情報管理のポイント

個人情報・機密情報は絶対に入力しない

生成AIはあくまでもクラウド上の外部サービスであり、入力した情報はそのまま社外へと送信されることになります。そのため、「メールに添付してはいけない情報は、AIにも入力してはいけない」という意識を徹底することが肝心です。

また、口頭での相談と違い、AIへの入力はログとして残る可能性がある点にも注意が必要です。万が一、社内トラブルや情報漏洩が発生した場合、誰が・いつ・何を入力したかを特定できる仕組みも検討しておくと安心です。

従業員向けガイドラインの整備を

AIの業務利用は今後さらに加速していくと予想されます。そのため、企業としては単に禁止事項を伝えるだけでなく、「どのように使えば業務に役立つのか」までを含めた教育・啓蒙が重要になります。

具体的には、以下のような内容を含むAI利用ガイドラインが有効です:

  • ChatGPTの利用目的と業務上の適切な活用例
  • NG情報とその理由(個人情報保護法や社内規定に照らして)
  • 設定変更手順のスクリーンショット付きマニュアル
  • 相談先や問い合わせ窓口の明記

これにより、現場の混乱や不安を軽減し、全社的に統一された安全なAI活用体制を構築できます。

まとめ|リスクを理解して、安心して活用しよう

ChatGPTは非常に強力な業務支援ツールであり、適切に使えば業務効率の向上・発想力の強化・業務負担の軽減など、多くのメリットが得られます。しかし、その一方で情報管理の不備があれば、企業の信頼を損なう大きなリスクにもなり得ます。

今回ご紹介した「データ学習設定の確認」や「入力NG情報の明確化」、そして「ガイドラインの整備」は、いずれも今日からすぐに取り組める内容ばかりです。

ChatGPTを安全に、そして効果的に業務に取り入れるための第一歩として、ぜひ今回の内容を参考にしていただき、御社ならではのAI活用戦略を築いていただければ幸いです。